Amazonの電子書籍リーダー「Kindle」は、Kindleストア(アマゾンの電子書籍ストア)で販売されている電子書籍を読むための専用端末です。
「Kindle」は非常にコンパクトで軽く、携帯性に優れていて、Kindleシリーズの中では最も価格が安い端末です。
今回はエントリーモデルにあたる「Kindle」を実際に使ってみた上で、その実力を徹底レビューしてみたいと思います。
(2019年2月27日更新)
- 利用する際の注意点
- Kindleの端末価格
- 外観(サイズ、重量など)
- ブルーライトゼロで目に優しい画面
- 文字の大きさやフォントの変更が自由自在
- 文字の見やすさ
- 端末の操作性
- ダウンロードスピードの実測調査
- バッテリーの持続時間
- 何冊保存できる?
- 主な便利機能を紹介
- 基本スペックの比較
- 購入する際の注意点
- ユーザーの評価
- まとめ
利用する際の注意点
本のダウンロードやストアへのアクセスにはWi-Fiの接続が必要
「Kindle」で本を読むには、無線LAN(WiFi)を使って、まず一度本をダウンロードする必要があります。一度ダウンロードしてしまえば、ネットが繋がらない(オフライン)場所でも読書が楽しめます。
もちろんkindleストアへアクセスする際もWifi環境が必要です。
マンガモデルじゃない通常モデルの「Kindle Paperwhite」には、WiFi以外に3G回線が付いているので、ネット環境がなくてもダウンロードなどが可能です。ちなみに3G回線の通信料はAmazonが負担するので、利用者は無料です。自宅にネット環境が整っていない方は、3G回線のついた端末を検討しましょう。
Kindleの端末価格
kindleシリーズ全ラインナップの端末価格は以下の通りです。「WiFi+4G/3G」以外は全て「広告つき」の価格となっています。
Wi-Fiモデル | WiFi+4G(3G) | |
---|---|---|
Kindle 4GB | 7980円 | ― |
Kindle Paperwhite 8GB | 1万3980円 | ― |
Kindle Paperwhite 32GB | 1万5980円 | 2万2980円 ※ |
Kindle Oasis 8GB | 2万9980円 | ― |
Kindle Oasis 32GB | 3万2980円 | 4万980円 ※ |
※ Paperwhiteは無料4G、Oasisは無料3Gです。また、「WiFi+4G/3Gモデル」は広告付きが選択できません
外観(サイズ、重量など)
カバンにも入りやすいコンパクトなサイズ
Kindleの大きな特徴といえば、非常にコンパクトなサイズ感です。下の写真からもわかる通り、文庫本のサイズとほとんど変わりません。片手で持つことも可能ですが、スマホのように片手での操作はちょっと難しいです。
厚さ9.1mmと非常に薄いので、小さなバッグでもすんなりと入ります。ページ数の多い紙の書籍だと分厚くて邪魔になるので、持って行こうか躊躇してしまう時があります。これだけ小さくて薄ければ、バッグに入れてもかさばりません。
滑りやすい裏面ボディが難点
マットな素材で滑りにくいPaperwhiteとは違い、Kindleは裏面ボディがプラスチックで出来ていて、滑りやすいです。指に引っかかる感覚がないので、落下のリスクがPaperwhiteより大きいです。
持ち運びで負担にならない軽さ
持ち運ぶ際に気になるのが重さでしょう。Kindleの重量はなんと158g(公式サイトには161gと掲載)。5インチサイズのスマートフォンとほとんど同じ軽さ(iPhoneXが174g、XperiaXZ1は約156g)です。長い時間持ち歩いても疲れずに済むので、通勤や通学での利用に向いています。読書の際にも重さを感じることはありません。
コンパクトで薄く、非常に軽いので持ち運びには最適な端末といえます。
ブルーライトゼロで目に優しい画面
電子書籍で不安なのが目への影響です。スマホやタブレットが放つブルーライトは、眼精疲労や睡眠への悪影響を引き起こす言われています。自分は視力が落ちるのが怖くて、今までなかなか電子書籍に手が出ませんでした。
Kindleのディスプレイは本物の紙のような読み心地のe-inlスクリーンを搭載していて、ブルーライトを発しません。自然な明るさで本が読めるので、目が疲れにくく、紙の書籍のようにじっくり読書が楽しめます。
ブルーライトの影響を受けやすいお子さんでも、安心して利用できる端末となっています。
実際に利用してみた感想として、1時間程度の利用ならば、ほとんど疲れを感じることはありません。スマホやタブレットを利用するより、断然良いです。ただ、さすがのKindleといえども、あまりにも長時間利用してると目が疲れてきます。その点は紙の書籍と変わりません。
ちなみにディスプレイのサイズは6インチです。一般的なスマートフォンだと4インチ~5.5インチ程度のサイズなので、スマホより大きな画面となっています。画面サイズという面でもスマホより優れているといえます。
文字の大きさやフォントの変更が自由自在
小説など文字のみの本は、14段階に分けて文字の大きさが設定出来ます。大きさを自由に調節できるので、細かい文字が読みにくい方でも安心して読書が楽しめます。字が細かすぎると目が疲れやすくなるので、重宝してる機能です。
もちろんマンガや雑誌も、ピンチアウト(2本の指を押し広げる動作)によるズームが可能です。
大きさだけでなく、フォントや文字の太さも変更可能です。フォントは「明朝」「ゴシック」「筑紫明朝」の3種類、文字の太さは6段階から選択可能で、自分の見やすい大きさや形にカスタマイズすることが出来ます。ちなみに初期設定ではフォントが「明朝」、文字の太さは一番細い設定になっています。
【上:明朝、下:ゴシック】
文字の見やすさ
上位機の方が見やすいが、慣れれば問題なし
Kindleの解像度は167ppi。PaperWhite、Oasisは300ppiです。上位機の方が文字がクリアで見やすいです。筆者はOasisをメインに使用しています。
しかし、Kindleも文字が読みにくいわけではありません。「慣れれば気にならない」と言う方も多く、特にこだわりがなく、テキスト(文字)のみの書籍をたくさん読む方はKindleでも十分だと思います。
ppiとは
1インチあたりのピクセル数を表す(画素密度)。pixels per inchの略。値が大きいほど、より高精細な画質となる。
雑誌やマンガは不向きな端末
【左:Kindle 右:Paperwhite】
ただ、雑誌やマンガには不向きな端末だと感じます。その理由は2つ。
まず、1つ目はズーム反応の悪さです。雑誌やマンガの場合、文字の大きさを調節する機能がなく、ピンチアウト(2本の指を押し広げる動作)でズームしなければいけません。そのズーム動作がスムーズさに欠けていて、物足りません。
2つ目は細かい字の見にくさです。漫画の吹き出し部にあるような細かな字は、若干ぼやけてて読みにくさを感じます。読めないことはありませんが、Paperwhiteの方が文字がクッキリしてて見やすいです。
端末の操作性
読書中の操作
Kindleは画面をタッチしながら操作を行います。もちろん読書中もタッチでスイスイとページがめくれます。ページめくりに関しては十分スムーズだと評価出来ます。
右綴じの本(右から左にかけて進む)は画面の左側をタップすると、先へと進みます。逆に戻りたい時は右側をタップ。本を読む行為においては、ストレスなく快適に利用できます。
Kindleではマーカーのように文章にチェックを付ける機能(詳しい内容は後述)あります。とても便利なので頻繁に利用しているのですが、チェックを付ける際の反応がイマイチです。慣れてくればスムーズが付けられるようになりますが、それでも上手くいかないことがあります。この点はもう少し改善してくれると嬉しいです。
ライブラリやKindleストアなど読書以外の操作
ホーム画面からライブラリ(購入した本やKindleUnlimitedなどのサービスで選択した本)やKindleストア、単語帳機能へすぐにアクセスすることが出来ます。ライブラリで便利なのがフォルダ機能です。本が増えてくると、読みたいタイトルが探しにくくなります。フォルダ機能を使えば、そのような問題も解消されます。また、検索機能を使って直接タイトルを見つけることも可能です。
動作スピードがスマホに比べて遅いので、人によってイライラするかもしれません。
Kindleストアでは、「ジャンル別の検索」や「ベストセラー」、「おすすめ商品ページ」の閲覧が可能です。どのページもストアのホーム画面から簡単にアクセスできるので、その点は便利だと感じました。
もちろん読み放題サービス「KindleUnlimited」も使えます。対象商品は商品リストが並ぶページに「Kindle Unlimited」のマークが表示されるので、どのタイトルが読み放題なのかとても分かりやすいです。タイトルの選択だけでなく、借りている本の削除も行えるので、わざわざスマホやパソコンの操作はいりません。
ただ、ページの回遊性やタップした時のレスポンス速度などは、パソコンやスマートフォンに比べて劣ります。また、「価格の安い順」や「レビューの評価順」といった絞り込み検索ができません。
Kindleストアに関しては他の端末で操作する時より劣る部分もありますが、これだけ使えれば十分だと感じました。
ダウンロードスピードの実測調査
購入した本や読み放題サービス「Kindle unlimited」で選択した本は、ライブラリに保存されます。そして、保存された本を読むには1度ダウンロードをする必要があります。では1冊ダウンロードするのに、どの程度時間がかかるのでしょうか?
ダウンロードスピードは合格点に値する
一般的な書籍だと大体7秒~15秒程度で完了しました。マンガの場合は30秒前後でダウンロードが終わります。多少誤差はあるものの、「Kindle」と上位機である「kindle Paperwhite(マンガモデル)」との間にダウンロード時間の差はほとんどありません。
ダウンロードに時間がかかってイライラするようなことはありません。もちろんWiFiの通信環境によっては、この結果より遅くなる可能性があるのでご注意ください。
バッテリーの持続時間
1度の充電で十分に長持ちする点もKindleの特徴です。ワイヤレス接続オフで1日30分利用した場合、フル充電で最長4週間利用できます。バッテリー持ちの良さには驚きました。スマートフォンのように、数日に1度や毎日充電する必要がないので、充電切れを気にすることなく読書が楽しめます。
何冊保存できる?
Kindleのストレージ容量は4GBです。4GBと言われてもどの程度保存できるか分からないので、実際の書籍を例に計算してみましょう。下の表をご覧ください。
例えば、ベストセラー本「嫌われる勇気」のファイルサイズは9602KBです。9602KBをGBに直すと0.009157GB。「嫌われる勇気」と同ファイルサイズの書籍だけ集めると、約437冊保存できる計算になります。小説のようなファイルサイズの小さい本に至っては、数千~1万冊も保存可能です。
端末1台でたくさんの本を所有できる事は、様々な点でメリットがあります。例えば、部屋の収納。437冊もあったら部屋が本で埋まってしまいますが、Kindle1台あれば、そのような心配はいりません。本棚も必要ないので、コスト削減にも貢献してくれます。
また、長旅や長期出張のお供にも便利です。紙の本を何冊も持っていったら荷物が増えて、持ち運びに苦労します。しかし、Kindleなら薄型で軽いので邪魔になりません。
ちなみにマンガなどのファイルサイズの大きい本は数十冊しか保存できません。このように書籍のジャンルやタイトルによって保存できる数は異なります。ちなみにSDカードなどを入れる外部ストレージはありません。
Kindleでマンガを読みたい方はストレージ容量が32GBある「kindle Paperwhite(マンガモデル」の購入をおススメします。
主な便利機能を紹介
主な便利機能1 ハイライト(マーカー)とメモ機能
単語や文章にハイライトを付けることが出来ます。チェックを付けた部分はまとめて見ることが出来るので、とても便利です。内容の復習やノートをまとめる際に、よく利用しています。また、チェックした部分はメモを記せるので、自分で分かりやすいように補足説明を加えることも可能です。
主な便利機能2 検索辞書機能
キンドルは検索機能(マンガ、雑誌は出来ない)も付いています。普段読書をしていると、途中で分からない単語が出て来て困る時があります。スマホや辞書を使って調べるのですが、読書が途中でストップしてしまいますし、調べること自体が結構面倒に感じます。
Kindleで検索機能を使ってわからない文字をチェックすれば、下の画面のようにすぐに言葉の意味を表示してくれます。いちいち辞書や他の端末を使って意味を調べる必要もありませんので、とても便利です。
主な便利機能3 X-Ray機能
本の大まかな内容を予習できるX-Ray機能。X-Ray機能を使うと、本に登場する重要な登場人物やキーワードに関する解説が表示されます。事前に重要ワードを確認できるので、スムーズな読書が期待できます。
また、キーワードが出現するページ一覧が表示され、該当ページに飛ぶことも可能です。登場人物の多い物語を読むと、途中で誰がどんな人物か分からなくなる事があります。しかも、どのページで登場してきたか全然分からない。結局、理解せずに読み進めてしまう時がたまにあります。
このX-Ray機能があれば、人物の登場ページをすぐに確認できるのでありがたいです。
主な便利機能4 WordWise機能
洋書を読む人のためのアシスト機能です。文章中にある難しい英単語や熟語を分かりやすい英語にして表示してくれます。下の絵のように、単語の上にヒントが表示されます。
WordWise機能の便利な点は、ヒントの表示だけではありません。表示されるヒントの量も調節できるので、英語のレベルに合わせたカスタマイズが可能です。
主な便利機能5 Kindleストアの利用
アマゾンの電子書籍ストア「Kindleストア」へのアクセスも可能です。本の購入やダウンロードが出来るので、いちいちスマホやPCを用意する必要はありません。読み放題サービス「キンドルアンリミテッド」も使えます。設定でストアへのアクセス制限も可能です。
主な便利機能5 単語帳
英語学習する方や語彙力を身に付けたい方に便利なのが単語帳機能。ハイライトを付けた単語は単語帳にどんどん溜まり、後で言葉の意味を見直すことが出来ます。
また、単語帳に搭載されているフラッシュカード機能(単語テスト機能)を使えば、語彙力の向上も期待できます。洋書にも使えるので、外国語を身に付けたい方にもオススメ。「Kindle」は、学生や語学勉強する方を手助けする便利アイテムだといえます。
主な便利機能6 画面ロック機能
セキュリティ面もご安心を。画面のロック機能(パスワード入力)も付いているので、勝手に中身を見られる心配もいりません。ロック機能はOFFにすることも可能(初期設定はOFF状態)です。
基本スペックの比較
Kindle製品のスペックを比較してみましょう。
※1 Wi-Fiをオフ、1日30分間使用の場合
※2 Wi-Fiをオフ、ライトの明るさ「10」で1日30分間使用の場合
購入する際の注意点
保証制度
Kindleは購入すると、1年間の限定保証が付いています。通常の使用状況において発生した材料および製造技術上の瑕疵に基づく損害について補償してくれます。
1年間のみの保証だと心配という方は、オプションで延長保証がありますので、そちらも合わせて選択しましょう。保証期間は2年間(1380円)と3年間(1980円)のどちらかを選べます。商品の落下や水漏れ等による故障も保証対象となっているので、何かと安心です。
キャンペーン情報の有無
商品を購入する際、キャンペーン情報の有無を選択しなければいけません。キャンペーン情報アリにすると、Kindleのホーム画面の下部に広告(Kindleのセール情報など)が表示されます。また、電源ボタンを押してから画面を一度スワイプしないと開けない仕組みになっています。
キャンペーン情報なし(広告なし)の方が2000円高いです。
普段使っていて、広告が気になったことは正直一度もありませんし、スワイプも面倒に感じたことがありません。なるべく安く買いたい方はキャンペーン情報ありの方をオススメします。
ユーザーの評価
2019年2月現在、Amazonのカスタマーレビューは平均で星3.9の高評価です。レビュー907件のうち、半数近くにのぼる43%もの人が星5つを付けています。
まとめ
電子書籍リーダー「Kindle」は、薄型の軽量ボディで非常に携帯性に優れる商品です。ブルーライトゼロで目に優しいので、誰でも安心して利用できます。単語帳機能やWordWise機能など、多くの便利機能もあり、電子書籍リーダーとしては十分使える商品です。
ただ、ストレージ容量や解像度の面を考えると、雑誌やマンガを読むには不向きです。また、ハイライトの付けにくさなど、不満が全くないわけではありません。
それでも全体的にコストパフォーマンスが高い商品だといえます。「よりクリアな文字で読みたい」という方やマンガを中心に利用する方は、「Kindle Paperwhite(マンガモデル)」といった上位機がおススメです。